『世界が崩壊しようとしている時に、こんな恋をするなんて・・・』
イングリット・バークマン演じる、映画“カサブランカ”のヒロイン、イルザのセリフです。
北の海峡の町。老残の貴公子の風情を残す『Bar Casablanca』で、偶然が織りなすいくつかの奇妙な男女の愛が生きる。たそがれは儚く・・・夢と幻の時間のなかに・・・たそがれを愛しつつ・・・。
清水邦夫作品のミッシングリンク、「たそがれてカサブランカ」
1989年に初上演された本作品は、その後再演されることもなく不遇な扱いを受けている。この旧く切ない物語に惚れ込んで温め続けた老演出家の総指揮のもと、みなさまにお届けします。"As
time goes by" 映画 "Casablanca"
のテーマに乗せて。
CAST
清宮一成 川上真衣(横須賀市民劇場プロジェクト)
吉村平太 田中勝彦
吉村五郎 守屋康幸(Y.S.ベアフット・シアター)
川田十・黄色いコブラ 佐藤典久(G/9-Project)
吉村ふぶき 小林佳代
ウーやん 前田 努
ケンちゃん 小林琢磨(Y.S.ベアフット・シアター)
あーさん 野中友生(劇団いろえんぴつ)
りん子さん 加藤悠佳(横須賀市民劇場プロジェクト)
サキコさん 青柳敦子(横須賀市民劇場プロジェクト)
鯨岡竜次 西澤進一
一成の姉(亡霊) 中村海 大木敏子(劇団営業二課)
STAFF
演出補 田中勝彦
ライティングプラン・アートディレクター 羽賀義博
舞台監督 今井恵
照明 SST・め組
音響 TVK:情野喜男 劇団営業二課:矢部和美
大道具 舞台功紡『彩』:羽賀義博
衣装 木村尚美・二条糸子
小道具 田中勝彦・中村 海
制作 西澤進一・小林佳代・谷岡あや子・加藤佐和子
振付け 青柳敦子
公演情報
日時: 2014年9月12日(金) 18:30開演
13日(土) 14:00開演
場所:
横須賀市立青少年会館 ホール
料金: 前売・当日共 1,500円
学生・シニア割引 1,000円
「Here's looking at you, kid.」
自分と演劇とを結びつけてくれた劇団「夢樹(むーじゅ)」を、今年喜寿を迎えた演出家、「おとうちゃん」こと吉本敏克を中心に復活させ、久しぶりに横須賀で舞台を作りました。夢樹には「夢のなる樹」という意味を込めています。
この作品を作るにあたって、モチーフである映画「カサブランカ」を何度も見ました。この映画の名セリフ「君の瞳に乾杯」。若いころの自分はキザなのが大嫌いで、特にこういうストレートなのはパロディの対象でしかなかったのですが、何度も見ているうちに年のせいでしょうか、いい映画だなーとだんだんファンになってきました。この作品に関わらなければ、おそらく生涯観ることが無かったでしょう。こういう出会いも楽しいものです。いまや100円ショップでDVDが売っているので、ご視聴をお勧めします。
本日は御来場ありがとうございました。多くの人に支えられたこの作品が、みなさんの心に響きますように。
プロジェクト夢樹代表 田中勝彦
ミラクル
某テレビ局の『アナタの奇跡は?』の番組に注目した。まさにこの演出を託されたことは、喜寿を迎えた私の奇跡だし、十年前この作品上演を願って以来のことである。戯曲を書けない私は、日本演劇界の先陣に立つ優れた作品を、1957年以来、30本近く演出してきた。とりわけ我が愛する清水邦夫作品は、「楽屋」、「薔薇十字団 渋谷組」以来、3作目となる。
劇団『木冬社』の大看板女優・故松本典子の悲報や、その夫の清水邦夫の入院闘病生活の報を知り、ひどく心痛め、上演を決断した。幸いにして、代理者を通じて、作者に上演許可願いを病棟に届け、快諾を戴くことができた。
3ヶ月・数十時間の稽古に終わったことを悔やむが、今日を迎えられたのは横須賀市民劇場プロジェクトの有志の絶大な支援・協力があってこそと、しっかり申し添えておきたい。また、プロジェクト夢樹・再起動にむけ、惜しみない協力と努力を傾けてくれた多くの仲間に感謝し、改めて厚く御礼を申し上げたい。
演出 吉本敏克